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静かな雨、音のない雨……そんな霧のような雨の日、僕は公園に出掛けた。
大きな湖の畔に作られた遊歩道を一人、僕は影のように歩く。
ふと、足を止め……霧のような雨に乱される水面を見る。
昼間だと言うのに薄暗く、傘を叩く雨の音しかしない。
遊歩道に誰も居ないのを確認し、僕は大きく息を吸った。
そして……
「ケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロ……」
ケロロ軍曹の物真似をしてみる。
誰も共鳴してくれないのを、少しだけ寂しいと感じながら。
でも、主題歌の『ケロッとマーチ』って、六月が似合うと思うんだよね……雨の日とか。
梅雨の雨を鬱陶しいと感じながら、どこかうきうきした気分で窓の外を見る、みたいな。
僕は湖の畔を、また静かに……この雨のように、静かに歩き出す。
佇まいは静かに、心の中は賑やかに。
ケッケロッケロー