猫の見る夢

第四話 初夏の風に 朝、目覚めると二人の姿は無かった。 今日は月曜だから、普通に学校に行ったんだろうと思う。ぼんやりと目を向けると、時計の針は10時18分を指していた。……寝過ぎだ。 部屋を出ると食卓の上に、朝食と二枚のメモが残されていた。 メモ…

第三話 猫の気持ち 今日はバイトも無いので、家でゴロゴロしている予定だった。……けど、非常に気まずいんですが? 朝食のとき、妹は僕から視線を外して、ずっと手塚さんの世話ばかりしてたし、いまもパソコンで遊びながら、やたら緊張してるっぽい。いや、緊…

第二話 由希の告白 玄関を入って直ぐのキッチンで妹は洗い物をし、その足元に素肌にワイシャツ一枚の手塚さんが凭れ掛かっていた。 素肌にワイシャツと見て取れたのは、襟元のボタンがかなり際どいところまで外されていたからだ。 「…………」 僕は言うべき言葉…

第一話 テーブルの下の彼女 よく晴れた午後、早朝からのバイトから帰った僕は狭い玄関の前で途方に暮れていた。 安アパートの玄関のドアを鍵で開けて(そうちゃんと鍵を開けて中に入ったのは間違いない)、それから、ドアを開き、靴を脱ぎ……いつものように年…