遺書
 
 
 目に映る全ての物が、僕を拒絶しています。耳に聞こえる全ての音が、僕の神経を逆撫でします。
 肌に触れる大気さえも、僕を傷付け嘲笑います。
 繰り返し刻まれる時計の音が誰もが平等なのだとうるさいです。
 傷付けられているのではなく、自分で傷付いてるのだと語りかけて来ます。
 僕は、鏡に映る僕に言いました。
「死ね」
 
 
 君の目に映る僕は、醜いですか?
 君の耳に聞こえる僕の声は、卑猥ですか?
 君の肌に触れる僕の指は、汚れていますか?
 繰り返し続けられる日常で何かを無くすのには慣れました。
 君に傷付けられるのも傷付けるのも僕が悪いんですね。
 僕は、溝に落ちた小石に言いました。
「もう、殺してくれ」
 
 
 お母さん。今日、僕はあなたに尋ねます。
「死んでもいいですか?」
 でも、否定して下さい。本当に言いたいのは、そんな事じゃ無いからです。
 色んな言葉が浮かびました。
 愛してください。
 必要としてください。
 僕を見てください。     
 邪魔にしないでください。
 無視しないでください。
 仲良くしてください。      
 一緒にいてください。
 抱きしめてください。 
 見守ってください。
 忘れないでください。  
 ごめんなさい。
 ごめんなさい。
 ごめんなさい。   
 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
 
 
 許してください。僕は逃げ出したいんです。
 愛されるのも、愛するのも怖いんです。だから、何も言わずに逝きます。
 さようなら。